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「塗り替え」で当り業者が少ない理由②

塗り替えの当たり業者を見分けるためには消費者自身の知識も必要

良い塗り替え業者に出会うのは「宝くじに当たるのと同じくらい難しい」、「九十九里浜で一粒の赤い砂を見つけ出すのと同じ」などと言われるくらい、真の意味で信頼できる業者は少ないのが塗装業界です。
今回は、「『塗り替え』でハズレ業者が多い理由」の続きをお話しします。
(前回の記事はこちら

会社になっていれば大丈夫か?

建設業許可があるから安心かといえば、そうとも限りません。なんと、独立して5年で技能検定1級があれば建設業許可は取得できます。塗装の他に500万円以上のリフォームなども請負っている場合でも塗装専門からスタートしている会社では2級建築士や2級建築施工管理技士(仕上)が在籍している程度である場合が多く、建物の構造について十分な知識があるか疑問です。「では、1級建築士がいるリフォーム店なら大丈夫でしょう?」と聞かれる方もいます。1級2級にかかわらず、建築士では資格試験でも実務でも塗装などの仕上げに関する知識を深く求められることはありません。要するに畑違いなのです。最低限の知識はあるので工程は分かるかもしれませんが、仕上げの良し悪しは見た目でしか判断できないといった人が実に多く、カタチだけで検査をしても一般消費者が行うのと何ら変わりがないということもあります。それでは下請けの職人に上手く誤魔化されても判りませんので、工事に介在する意味がありません。

消費者が出来の良し悪しの判断を誤る心理学上の理由

業界では決して評判が良くなく、良い技術者もいない会社であっても工事を依頼した消費者はプロが見ればあちこちに施工ミスや技術不足である部分が見受けられても「丁寧に工事をしてくれた」ということが少なくありません。理由は、人は認知バイアス(自分の思い込みや周囲の環境によって無意識のうちに合理的でない判断をしてしまう心理現象のこと)によって、自分が選んだ物事を肯定したいからなのです。
また、アンカリングによって、事前に見た広告などを強く印象に停め、実際に手にした物とは違ったとしても判断を歪めてしまったり、正常性バイアスによって支払った費用に見合わない出来であることを認めることができないこともあります。

「知り合いからの紹介」で、知り合いが工事をしてもらって良かったというからと依頼をしたら大変な目にあったということが起きるのはこれらが作用しているとも考えられます。

技術がある者にはそれなりの評価も必要!

塗装工事の請負金額から建築が出来る知識に加えて塗料・塗装の他、防水などの類似工事の技術や知識を持っている人材を雇えるだけの費用を捻出するのは非常に困難です。私の知っている限りですが塗装やリフォームを主体とする会社では役員か身内でない限り1級建築士や1級建築施工管理技士が在籍している会社はありません(資格だけの高齢の社員がいるところはあります)。もっというと、そこまでの知識と経験があるのならば、もっと待遇と給与が良い建築会社に勤めることができるので、現実的に考えると塗装やリフォーム会社の社員にはいる可能性が限りなくゼロに近いのです。

ハズレ業者の方が儲かり、広告を多く出している

前回は「塗装屋」が減って「塗り替え屋」が増え、技術を持たない者が多くなり弊害が生じていることをお伝えしましたが、ハズレ業者の多くは、1件の工事で当たり業者よりもはるかに大きな利益を取ります。手抜きかどうかも分からず「手抜きがない」とか「ナンバーワン技術力」と言っているわけですから、判る者では恐れ多くて取れないような暴利も平然と受け取るのです。その利益で広告を多く出し、年間何百万円もかけて立派なホームページを作り、営業マンに電話番と社員も増やすわけですから、非常に目立つわけです。

当たり自体がほとんどない現実・・・

このように、構造的にハズレ業者が多くなるようになっているので、当たり業者に出会える確率は非常に低いのです。特に、営業マンをまわし、派手な宣伝広告や無料のセミナーなどで客寄せをしているような会社は、工事に以外にかかっている費用が大きいので頼りも価格がずば抜けて高くなければ手抜きを生み安い環境にあるのでご注意ください。

弊社では、本物の自社職人と彼らへのトレーニングの積み重ね、経営者が相応の資格を多数持ち直接指導することで難しいとされている問題を克服していますが、その基本体制を作り上げるだけで10年以上の月日がかかっています。もちろん営業マンもいませんし、広告も限られた予算の中からでしか行っておりません。

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