無機塗料とは

無機塗料とは

無機塗料とは

最近、訪問販売を中心に無機塗料と称するものを売る塗装会社が増えていますので、無機塗料について解説したいと思います。

無機塗料ってなんだ?

まず、有機物と無機物の違いを説明します。
有機物とは、炭素と酸素からなるもので、砂糖や小麦粉などの食品だけでなく、紙や石油製品などが代表的なものです。対して無機物とは、有機物でないものすべてを指します。塩や鉄、ガラスなどが代表的なものです。
石油製品が有機物であることから分かると思いますが、塗料はすべて有機物です。無機物だけで造られた塗料は存在ません。コーティングなどで「リキッドグラス」と称している商品がありますが、それらはあくまでも商品名であり、実際はシリコン樹脂です。当然ですがガラスを塗料にしたものではないのでガラスのような硬度は出ません。
しかし「塗料=有機」なると無機塗料という名称自体が矛盾しているとなりますが、これもまた呼び名に過ぎません。ただし、リキッドグラスのようにガラス(無機)を全く含まないのに商品名にしているのではなく、無機成分が有機物である塗料に混ぜてあるものは無機塗料と呼ばれています。100%無機ではありませんが・・・・。
セラミック塗料と名が付いている様々な塗料も、上記の理論を適用すれば無機塗料です。セラミック塗料とは、決してセラミックと同じ性能が出る塗料ではなく、セラミックの粉が入った塗料であり、耐久性は基材の樹脂が同じならばセラミックが入っていない塗料とさほど変わりません。

有機物が塗料を劣化させるという「ウソ」

無機塗料を売らんとするメーカーやまとめサイトには、有機物が原因で塗料が劣化するといった内容の記事を掲載しているところもありますが、それは根本的に間違っています。昔から使われているリシン(吹付)は代表的な無機塗料の一つですが、期待耐久年数は僅か3~5年と短く、現在の一般的な塗料よりも早く劣化します。ただ、リシンは珪砂などの無機成分を多く含んでいるので、紫外線によりチョーキング(粉化)が起こりづらいといった特性があるため劣化が分かりづらいのです。知識がないと、それが劣化しないと勘違いしてしまうのです。

無機塗料は、ピンキリ? 同じ無機塗料でも性能は同じではない

無機塗料と称するものは沢山ありますが、先にも書いた通りで無機成分が混ぜ込んであるだけで無機塗料を名乗っている商品もあるため、どれも性能が高い(価値がある)というわけではありません。中には名ばかりのナンチャッテ商品もありますので、豪華なカタログを見せられても信じないようにしましょう。

無機塗装のメリット

無機塗料には、そう名乗るのにふさわしい商品と偽物とも言える商品がありますが、本物の無機塗料のメリットとデメリットを紹介します。

紫外線による劣化がしづらい

紫外線は有機物を分解するので、それによって有機塗装は劣化します。それにたいして無機塗装は有機物の割合が低い(ゼロではありません)ので、紫外線劣化しづらいといった特徴があります。

汚れがつきづらい

下敷きを擦ると静電気が発生し物(ゴミなども)を引き付けるのはご存知かと思いますが、有機塗料の場合は風などで表面が擦られると下敷を擦るのと同じ状況が起き帯電(静電気)をするので外に浮遊する埃などを引きつけ汚れます。無機塗装の場合は、有機物お割合が少ないので帯電もしづらく、汚れづらいといった特性があります。

燃えづらい

砂やレンガなども無機物なのですが、それらが燃えづらいように無機塗装も燃えづらいです。もちろん、薄い幕で有機物を含んでいるため、全く燃えないと言うわけではありませんので燃えないとは考えないでください。焦げます。

有機塗装のデメリット

多くのメリットがある無機塗装ですが、当然としてデメリットもあります。こちらは本物(?)の性能が高い無機塗料でも期待する性能が出ないナンチャッテ塗料でも同じです。

価格が高い

無機塗料は原材料が高いため、どうしても価格が高くなります。しかし、期待するほどの性能が出ない無機塗料でも価格はそこそこ高いため、ちょっと安いような価格を出して来る見積には気をつけないといけません。有名上場塗料メーカー以外の商品は疑ったほうが良いでしょう。

密着しづらい(剥がれやすい)

無機成分は粉が主体ですので、どうしても密着力が低いです。それらを補うために専用プライマーや専用中塗りを用意して密着するように出来ている物が多いです。手抜きをすれば更に剥がれやすくなりますし、攪拌が悪くても剥がれやすくなったりします。屋根は外壁よりも剥がれやすいため屋根用の塗料を使わないといけないですが、こちらはどうしても有機成分が多く、無機塗料と名乗るのが難しいので大手メーカーはコンプライアンス的にアウトという事で屋根向け商品は出していないです。現在のところ唯一ダイフレックスが屋根用の無機塗料を販売していますが、非常に高価です。その他聞いたことがないようなメーカーや、施工店を限っているようなメーカーのものはイメージ商品ですのでおススメしません。(当社は絶対に使いません。)

割れやすい

建築用の塗料はある程度の柔らかさを保つことで剥がれづらく長持ちするのですが、無機成分が多い塗料は(一般的な塗料よりも)硬くなるので、どうしても割れやすいです。

性能を引き出すのに技術が必要

密着しづらいことはご説明したかと思いますが、それが故に施工には技術が必要です。技能士があればよいという物ではなく、本当の熟練した技術と知識と訓練が必要です。

おススメの無機塗料

弊社でおススメする無機塗料や国産メーカーの無機塗料をご紹介します。

アプラウドシェラスターⅡ(日本ペイント) 設計価格5,440円/㎡(下塗り込み。コンクリート、モルタルの塗り替え)
最高品質の無機系塗料の一つです。でも、頻繁にメンテナンスが出来ないビル向け商品です。
クリスタコート(日本ペイント) 設計価格1,090円/㎡(トップコート1回のみ)
こちらは、既存の塗料の上にかけるコーティング材です。既存のシリコンやフッ素を使いその上にプラスして耐久性や耐汚染性を高めます。
なお、ハナコレクション500コートは、シリーズが異なるだけで同じ商品です。
ニッペパーフェクトセラミックトップG(日本ペイント) 設計価格4,430円/㎡(下塗り込み。コンクリート、モルタル、ALCなどの塗り替え)
住宅向けの無機系塗料です。サイディングなどにも使え、艶消しでの施工も可能です。
ダイヤスーパーセラン(ダイフレックス) 設計価格4,500円/㎡(上塗り2回、下塗り別途)
現在の無機系塗料の元祖的存在です。この商品が発売された当初は有機と無機のハイブリッド塗料として発売されました。性能は高いですが高価で、こちらもビルやRC建物向けの商品です。
ダイヤスーパーセランマイルド(ダイフレックス) 設計価格4,500円/㎡(上塗り2回、下塗り別途)
スーパーセランを弱溶剤化した商品です。
ダイヤスーパーセラン シリーズ(ダイフレックス) 設計価格2,500円/㎡~(上塗り2回、下塗り別途)
性能が高いスーパーセランの廉価版にはいくつかの商品があります。性能は価格に比例。住宅向けで、OEMでオリジナル無機塗料として違った名称で販売されている物もあります。
アレスダイナミックMUKI(関西ペイント) 設計価格3,670円/㎡~(下塗り込み)
住宅向けの無機系塗料です。コンクリートの他、サイディングなどにも使えます。つや消しは出来ませんが3分艶まで調整は可能です。
エスケープレミアム無機(エスケー化研) 設計価格設定なし
当社では基本的に使いませんが、よく使われている無機の一つです。
水系ファインコートフッ素(菊水化学) 設計価格2,600円/㎡~(下塗り含まず)
OEM商品で、フッ素が入った無機として売られている物です。OEMで売られていると高いですけど。。。。
キクスイ SPパワー無機ガードF(菊水化学) 設計価格2,900円/㎡~(下塗り含まず)
こちらもOEM商品で、フッ素が入った無機として売られている物です。油性。

性能は??だが、よく使われている無機塗料

タテイル(プレマテックス) 設計価格未設定
OEM商品と言われています。先に紹介したメーカーから供給されているのではないかと思われます。
グランデ(プレマテックス) 設計価格未設定
こちらもOEM商品と言われています。フッ素が入った無機・・・・どこかで聞いたような。。。。

まとめ

以上でお話ししたことをまとめると、以下のようになります。

  • 無機塗料は、全てが無機成分ではなく、ガラスやタイルになるわけではない
  • 商品によっては耐久性が高く長持ちする
  • 燃えづらいが割れやすい
  • 全ての無機塗料が性能が高いわけではなく、名前だけの商品も存在する

訪問販売やリフォーム店のチラシには高級塗装として無機塗装の文字が並びますが、正直言って謳っているほどの性能がないと思われる商品が多いです。価格が安ければ安いなりで、無機とは名ばかりの商品を豪華なカタログであたかも最高品質であるかのように紹介しているところもありますので、売らんかなで出まかせを言っているのではないかと考えられますのでご注意ください。