
外壁や屋根の塗り替えは、住まいを守るために欠かせない工事です。しかし実際には、「品質の低い工事」を行う業者が少なくありません。
その背景には、情報の非対称性と呼ばれる構造的な問題があります。(※現在発売中の青年向けコミック誌「グランドジャンプ」(集英社)に掲載されている「カモのネギには毒がある」で、情報の非対称性について漫画で説明されているので、よろしければそちらもご覧ください。)
情報の非対称性とは?
工事の世界では、業者とお客様との間に大きな知識の差があります。
- 業者は塗料の特徴や施工方法を熟知している
- お客様は仕上がりや見積書でしか判断できない
この差が「情報の非対称性」です。お客様には工事の中身が見えにくいため、どうしても派手な広告や価格、営業トークに左右されやすくなります。結果として、いくら品質のよう仕事をしても消費者は価格が安い業者や派手に広告を打っている業者を選んでしまうので、非常に多くの塗装業者が品質を軽視し、儲けを重視するようになり、自然と、「質の高い施工を提供するほとんどの業者が淘汰されてしまった」というのが現在の状況です。
相見積もりの落とし穴
「複数社に見積もりを取れば安心」と思う方も多いですが、相見積もりには大きな問題があります。
- 各社の見積もりは書き方が違い、比較しにくい
- 安さで選ぶと、必要な工程を省く手抜き工事につながる
- 技術力のある業者ほど適正価格を提示するため、安さ競争で選ばれにくい
結果的に、相見積もりは「粗悪工事をする業者ほど有利」になる危険があるのです。
「施工中の写真」も万能ではない
最近では「施工中の写真を提出します」という業者も増えています。写真があると一見安心ですが、実はこれも簡単にごまかすことが可能ですので、写真を撮ることをアピールする会社には注意が必要です。
- 写真を撮るのは一部の工程だけ
- わざと別の現場の写真を流用する
- 手抜き部分は撮影しない
つまり、写真の有無だけで工事の品質を判断することはできません。大切なのは、写真に基づいて専門的に説明できるかどうか、そして「そもそも信頼できる体制で工事をしているか」という点なのです。
本当に重視すべきは“技術力”
塗り替え工事の本当の価値は、完成直後ではなく5年後・10年後に違いが出るかどうかです。
技術力を見極めるために確認したいのは、次のような点です。
- 下地処理や補修の内容を具体的に説明できるか
- 実績や口コミに、長期的な評価が含まれているか
- 保証を「実際に履行した実例」があるか
まとめ
塗り替え工事の世界は、情報の非対称性によって粗悪業者が残りやすい構造があります。相見積もりや施工写真だけでは、本当の安心は得られません。
お客様が注目すべきは、業者の技術力と信頼性です。価格や見た目の安心材料に惑わされず、長く住まいを守れる工事を選ぶことが何よりも大切です。