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安売りは既に破綻!?安いリフォームは『お得』ではなく『安物』です

『激安』
『今だけこの価格』
『地域最安値』

こうした言葉を見ると、つい『同じ工事なら安い方が得だ』と思ってしまいます。
ですが、今のリフォーム業界では、その考え方自体が危険です。
なぜなら、材料費も人件費も諸経費も、すでに大きく上がっているからです。
正規の商品、正規の工程、正規の人数で施工する工事を、昔のように安売りすることは、もうほぼできません。
それでも相場より極端に安い工事があるとしたら、それは『企業努力の結果』ではなく、見えないところで何かを削っている可能性があります。

下地処理かもしれません。
塗布量かもしれません。
材料の質かもしれません。
職人の手間や管理かもしれません。

つまり、安いのではなく、『中身が違う』のです。
最初は得したように見えても、あとで剥がれ、雨漏り、短寿命、やり直し工事につながれば、結局高くつきます。
この記事では、なぜ今『安売り』が成立しないのか、そして安いリフォームがなぜ危険なのかを、原価の現実と現場目線でわかりやすく解説します。

リフォームの安売りが成立しにくい理由

リフォーム価格が上がっているという話をすると、『材料費が上がっているからでしょう』と思われることがあります。
もちろん材料費の上昇は大きいです。
ただ、実際にはそれだけではありません。
現場で上がっているのは、主に次の3つです。

『人件費』
『材料費』
『諸経費』

この3つが同時に上がっている以上、以前と同じ品質の工事を、以前と同じ価格で出し続けるのは無理があります。

人件費は大きく上がっています

職人不足は、今や珍しい話ではありません。
まともに施工できる職人を確保するには、それに見合う対価が必要です。
現場感覚としては、以前と比べて人件費が1.5倍前後になっていると感じる場面も珍しくありません。
これは単に『職人が高くなった』という話ではなく、そもそも人を確保しづらくなっていることも背景にあります。
リフォーム工事は工場の製品と違い、人が現場で動いて完成させる仕事です。
そのため、人件費の上昇は価格に直結します。

材料費も1.5倍から2倍近いケースがあります

塗料、防水材、シーリング材、下地材、副資材。
こうした建築材料も、ここ数年で大きく値上がりしています。
現場では、『以前の感覚で見積を組むと合わない』ということが実際に起きています。
材料によって差はありますが、体感として1.5倍から2倍近いケースもあり、もはや少しの工夫で吸収できる水準ではありません。
さらに、材料そのものの価格だけでなく、物流コストやメーカー側の製造コスト上昇も影響します。
つまり、材料費だけ見ても、以前の安値を維持するのは難しい状況です。

見落とされがちな諸経費も上がっています

消費者が見落としやすいのが諸経費です。

車両費
燃料費
保険料
廃材処分費
交通費
法定福利費
現場管理費

こうした費用も確実に上がっています。
見積書では目立たない項目ですが、会社が工事を成立させるためには必要なコストです。
つまり、リフォーム価格の上昇は『材料が高くなったから』だけではなく、工事全体のコスト構造が変わっていることが原因です。

『企業努力で安くできます』には限界があります

もちろん、すべての安い見積が即危険というわけではありません。
会社によっては、段取りがよい、無駄な中間マージンが少ない、営業コストを抑えているなどの理由で、ある程度価格を抑えられることはあります。
ただし、その『ある程度』には限界があります。
リフォーム工事は、規格品を大量生産する仕事ではありません。
建物ごとに傷み方が違い、下地も違い、周辺環境も違います。
現場に合わせて判断し、養生し、補修し、施工し、確認する必要があります。
つまり、企業努力で多少の価格差は作れても、正規の材料、正規の工程、正規の人数を守ったまま、大幅な安売りを続けることはできません。
ここを誤解してはいけません。
『安い』という事実だけを見て安心するのではなく、『なぜ安いのか』まで見なければいけないのです。

数字で考えると、安売りが難しいことはすぐ分かります

わかりやすく、以前100万円で成立していた工事を例にします。
仮に、数年前の原価構成が次のようなものだったとします。

人件費 40万円
材料費 30万円
諸経費 10万円
利益 20万円

合計 100万円

この工事が当時は成立していたとします。
では、今の感覚で考えるとどうなるか。
ごく単純化して、次のように置いてみます。

人件費 1.5倍
材料費 1.5倍から2倍
諸経費も上昇

すると、こうなります。

人件費 40万円 → 60万円
材料費 30万円 → 45万円から60万円
諸経費 10万円 → 20万円前後

この時点で、利益を入れる前の原価だけで

60万円+45万円+20万円=125万円
または
60万円+60万円+20万円=140万円

になります。
つまり、以前100万円で成立していた工事を、今も100万円で出し続けるのは普通に考えれば無理です。
それでも100万円で出している会社があるなら、どこかを削っていると考える方が自然です。

安い工事は、どこかを削って作られています

では、どこを削るのか。
ここに注目することが一番大事です。
価格を極端に下げるために削られやすいのは、消費者から見えにくい部分です。
たとえば次のような項目です。

下地処理を減らす
必要な工程を省く
塗布量を減らす
乾燥時間を十分に取らない
材料のグレードを落とす
職人の人数を減らす
経験の浅い人だけで施工する
技術がない職人で施工する
細部や付帯部の処理を薄くする
現場管理を甘くする

完成直後は、見た目だけならそれなりにきれいに見えることもあります。
しかし、工事の品質を左右するのは、見た目よりも中身です。
外壁塗装なら、色よりも下地処理や塗布量が寿命に影響します。
防水工事なら、表面よりも下地の状態や端末処理が重要です。
雨漏り補修なら、見えているシミよりも原因の見立てが大事です。
つまり、安く見せることはできても、同じ品質の工事を同じように安くしているわけではないのです。

安いリフォームが高くつく理由

消費者の方が一番気をつけるべきなのは、『初期費用が安い=得』と考えてしまうことです。
たとえば、同じ外壁塗装でも、正規の工程で10年程度を見込める工事と工程を削って短期間で劣化しやすい工事では 安いか高いか の意味がまったく変わります。
最初に安くても、早く傷めば再工事の時期が早まります。
再度工事をする時には補修費も追加で余計にかかります。
施工不良があれば、雨漏りや剥がれが起きて、建物本体へのダメージが広がることもあります。
見た目だけキレイになったことに安心し、建物に大きな問題を残したことであることに気づかない人も少なくないです。
そうなると、単なる『安物買いの銭失い』では済みません。
建物の寿命、住み心地、資産価値にまで影響してきます。
本当に得なのは、初期費用が一番安い工事ではありません。
必要な品質を確保し、結果的に長持ちする工事です。

『安い業者』が売っているのは、同じ工事ではありません

ここは非常に重要です。
今の時代に、正規の商品と正規の工事を大幅に安く売ることは、ほぼ成立しません。
それでも極端に安い価格が出てくるなら、それは同じ工事ではない可能性が高いです。
見積書に『外壁塗装一式』と書かれていても、

どの塗料を使うのか
何回塗るのか
下地補修はどこまで入るのか
シーリングは打替えか増し打ちか
付帯部はどこまで含まれるのか
養生や清掃はどうするのか
現場管理は誰が行うのか

これらで中身は大きく変わります。
つまり、『安い業者』が売っているのは、同じ工事の安売りではありません。
中身を落とした別の商品であることが多いのです。
消費者がこの違いを知らないと、『同じものを安く買えた』と思い込んでしまいます。
しかし実態は、『違うものを安く買っていた』ということが起こります。

安い見積で確認すべきポイント

安い見積を見たときは、総額だけで判断しないことが大切です。
確認すべきなのは、その金額で『何をどこまでやるのか』です。
特に見てほしいのは次の点です。

下地処理はどこまで入っているか
材料名や仕様が具体的に書かれているか
工程数が明記されているか
数量が曖昧ではないか
付帯部や細部が省かれていないか
保証内容が具体的か
価格の理由を説明できるか

まともな会社ほど、なぜその価格になるのかを説明できます。
逆に、極端に安いのに説明が曖昧な見積は注意が必要です。

まとめ

『安売りは既に破綻している』

これは大げさな表現ではなく、今の原価の現実です。
人件費は上がっています。
材料費も上がっています。
諸経費も上がっています。
この状態で、正規の商品と正規の工事を大幅に安売りし続けることはできません。
それでも安い工事があるなら、多くの場合それは『安売り』ではなく『安物』です。
どこかの品質、工程、管理、材料、手間が削られている可能性があります。
リフォームで本当に大切なのは、『一番安い会社を選ぶこと』ではありません。
『価格の裏側を見抜くこと』です。
安さに安心するのではなく、『なぜこの価格なのか』を見る。
それが、失敗しないリフォームの第一歩です。

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