
1. シーリングの役割と重要性
サイディング外壁にとって、シーリング(コーキング)は「建物を守る要」と言える存在です。
外壁材の目地やサッシ周りに充填されるシーリングは、以下のような役割を担っています。
- 防水性の確保
雨水が外壁内部に侵入するのを防ぎ、建物の劣化や雨漏りを防止します。 - 気密性の向上
外気の侵入を防ぐことで、断熱性・省エネ性を高めます。 - 緩衝材としての役割
サイディングは温度変化によって膨張・収縮を繰り返します。その動きに追従し、外壁材の割れや浮きを防ぐ役割を果たします。
経年劣化により、シーリングは硬化・ひび割れ・剥離を起こします。放置すると雨水の侵入や外壁材の損傷につながり、結果的に修繕コストが大きくなるため、外壁塗装と同時に打ち替え・打ち増しなどのメンテナンスを行うことが非常に重要です。
2. クリヤー塗装の特徴
サイディングの意匠性(レンガ調・石目調・木目調など)をそのまま活かせるのが「クリヤー塗装」です。
透明な塗料で保護膜を形成し、美観を保ちながら外壁を紫外線や雨風から守ります。
特に新築から10年以内で、まだチョーキング(白い粉の発生)や大きな色褪せが進んでいない外壁に適しています。
3. クリヤー塗装を行う際の注意点
クリヤー塗装は美観維持に優れていますが、いくつかの注意点があります。
- 劣化が進んだ外壁には不向き
すでに色褪せやチョーキングが出ていると、その劣化も透けて見えてしまいます。 - シーリングの色に注意
透明塗料のため、シーリング材の色がそのまま見えます。目地を美しく仕上げるには、外壁と調和した色のシーリング材を選ぶことが大切です。 - 打ち替え後の施工タイミング
シーリングを先に打ち替える場合、塗料との密着性を考慮し、プライマー処理や乾燥期間を十分にとる必要があります。
逆に「後打ち」で行う場合は、シーリングが塗膜で覆われないため、上に塗装する場合よりも紫外線劣化が早まる点に注意が必要です。
弊社では、高対候性シーリング材を標準で使用しております。 - 仕上がり確認の難しさ
透明塗装のため、塗りムラや厚み不足が見えにくい傾向があります。施工経験の豊富な業者を選ぶことが重要です。 - 塗装をすることで色が濃く見える
クリヤー塗装を施すと濡れ色になるため、塗装前よりも色が濃く見えることがあります。 - ツヤに注意
新築時のサイディングの仕上げはツヤ調整(3分ツヤから5分ツヤ程度)がされているので、工法が複雑になるので価格は高くなりますが、ツヤ調整をした仕上げを依頼するほうが良いです。なお、何の注文ナシにクリヤー塗装を依頼すると、ツヤ有で施工がされます。
まとめ
サイディング改修工事においては、シーリングのメンテナンスが防水性・耐久性を大きく左右するため、塗装工事とあわせてしっかり行うことが欠かせません。
また、外壁のデザインを活かすクリヤー塗装は非常に魅力的ですが、外壁の劣化状況やシーリングとの相性を見極める必要があります。