屋根塗装|屋根材別の注意点と正しい施工方法

屋根塗装|屋根材別の注意点と正しい施工方法

ROOF PAINTING GUIDE

屋根塗装は、塗料選びより先に
屋根材の判定が必要です

屋根塗装は簡単そうに見えて、屋根材の種類、製造年代、劣化状態、既存塗膜によって正しい施工方法が大きく変わります。塗装できない屋根材へ無理に塗る、必要な下地処理を省く、重なり部へ塗料をためるといった施工は、完成直後にはきれいでも、数年後の剥離や割れ、排水不良につながります。

岡部塗装店が施工した塗装後の瓦屋根

最初に確認する3点

  • 屋根材の商品名・製造年代と、塗装可能な状態か
  • 石綿(アスベスト)含有の事前調査が適切に行われるか
  • 洗浄・補修・下塗り・塗布量・乾燥時間まで仕様が示されるか

01

薄型スレート瓦(コロニアル・カラーベスト)

住宅で広く使われている薄型の屋根材です。製造年代によって石綿含有の可能性や基材の性質が異なり、まず商品名と状態の確認が欠かせません。特に初期のノンアスベスト製品には、層間剥離、ひび割れ、欠けなどが生じやすく、塗装で延命できないものがあります。

塗装前の石綿事前調査

改修工事では、書面や目視による石綿の事前調査が必要です。2023年10月以降、建築物の事前調査は原則として所定の資格者が行います。見積りの際は、調査者の資格と調査方法、費用の扱いをご確認ください。

注意したい製品例

パミール(ニチハ)

表層が薄く何層にも剥がれる層間剥離が見られる場合があります。製品特定と現物診断を優先します。

コロニアルNEO

2001年以降に製造された初期ノンアスベスト製品の一例です。ひび割れや欠けの状態によっては塗装以外の方法を検討します。

セキスイかわらU

製造年代と仕様により石綿の有無や基材の状態が異なります。表面剥離や著しい脆弱化がある場合は塗装できません。

レサス/シルバス

メーカー資料上の製造期間は、レサスが1999年~2006年9月、シルバスが2001年~2003年10月です。製品名だけで決めず現況を確認します。

施工の注意点

段差、重なり、棟板金、役物などは、刷毛とローラーを使い分けて塗り残しや塗料だまりを防ぎます。屋根材と工法に応じ、必要な縁切りや排水経路の確保も行います。

02

金属屋根

現在はガルバリウム鋼板などが多く使われています。耐食性は高いものの、色あせやチョーキング、傷、切断端部や固定部の錆は環境によって進行します。基材と既存塗膜に適合する仕様を選ぶ必要があります。

施工の注意点

  • 汚れや脆弱な旧塗膜を除去し、必要なケレン(目荒らし)を行う
  • 錆を処理し、基材に適合した防錆下塗りを選ぶ
  • 継ぎ目・端部・ボルト周辺は刷毛で先行塗りし、塗料だまりを防ぐ

高圧洗浄だけでケレンの代わりになるとは限りません。密着性を左右する工程として、見積書に下地処理の内容が記載されているか確認しましょう。

03

セメント瓦

セメントと細骨材を主原料に成形し、表面を塗装した屋根材です。形状が複雑で、平面の屋根より実際の塗装面積が大きくなります。ローラーだけでは凹部や重なり部へ適切に塗りにくいため、刷毛を併用し、塗布量と乾燥時間を管理します。

樹脂や繊維を混ぜた軽量セメント系屋根材もあります。製品と劣化状態によって塗装可否が分かれるため、割れや表層劣化を確認して判断します。

04

コンクリート瓦(モニエル瓦)

表面にスラリー層(着色セメント)と保護層を持つ屋根材です。劣化したスラリー層を残したまま塗ると、塗膜が基材ごと剥がれる原因になります。

施工の注意点

屋根の状態に合わせた圧力と方法で洗浄し、十分に乾燥させた後、残存する脆弱層を確認します。不十分なら再洗浄や追加処理を行い、専用または適合する下塗り材を使用します。一般的な屋根より洗浄に時間を要する場合があります。

05

アスファルトシングル

ガラス繊維の基材へアスファルトを含浸し、表面に石粒を接着したシート状の屋根材です。洗浄時に劣化した石粒が一部脱落することがあり、強すぎる洗浄は避けます。

施工の注意点

溶剤系塗料はアスファルト成分へ影響するおそれがあるため、メーカーが適合を認める水性系などを選びます。塗装、補修、カバー工法、葺き替えのどれが適切かは、下地、防水層、勾配、意匠、費用を確認して決めます。

06

粘土系瓦(陶器瓦・釉薬瓦・いぶし瓦)

粘土を成形し焼成した瓦です。釉薬瓦やいぶし瓦は、通常の外装用塗料で定期的に塗り替える屋根材ではありません。特殊な事情で塗装する場合は、瓦の種類と表面状態に適合する専用仕様が必要です。必要性がなければ、無理に塗装しないことをおすすめします。

COOL ROOF

遮熱塗装は、使用する塗料によって差が出ます

「遮熱塗料」と表示されていても、すべての製品が同じ性能ではありません。製品ごとに日射反射率、近赤外線を反射する性能、塗膜の耐候性、適合する下塗り材が異なるため、使用する塗料によって屋根表面温度の抑制効果や効果の持続性に差が生じます。

さらに、同じ製品でも選ぶ色によって性能が変わります。一般に明るい色ほど日射反射率が高く、暗色の遮熱塗料より、明るい一般塗料の方が高い反射率を示す場合もあります。実際の体感や室温への影響は、屋根材、換気、断熱、建物の構造、天候などにも左右されます。

比較するときは「遮熱塗料かどうか」だけで判断しません

  • メーカーが公表する色別の日射反射率
  • 下塗りを含む塗装仕様と屋根材への適合性
  • 規定塗布量・塗り回数と耐候性

岡部塗装店では、十分な遮熱性能を確認できる製品を選び、希望色と屋根の条件に合わせて、下塗りを含む施工仕様をご提案します。

THERMAL INSULATION

断熱塗装は、塗膜管理(膜厚管理)が非常に重要です

ガイナなどの断熱・遮熱塗料は、製品を使うだけで性能が決まるわけではありません。断熱性能を十分に発揮させるには、下地処理に加え、メーカーが定める塗布量と塗り回数を守り、必要な膜厚を屋根全体へ均一に形成することが不可欠です。

塗膜管理は、断熱塗装の性能を左右する重要工程です

膜厚が不足すれば期待する性能を得にくくなります。一方、一度に厚く塗りすぎると、乾燥不良、ひび割れ、膨れ、剥離、仕上がりの不均一などにつながるおそれがあります。そのため、使用缶数だけで判断せず、製品ごとの規定塗布量、実際の施工面積、一回ごとの塗り重ね量、塗り回数、工程間の乾燥時間を一体で管理する必要があります。

岡部塗装店の塗膜管理

  • 屋根の実測面積から必要な塗料量を算出する
  • 規定量を各工程へ配分し、一度に厚く塗りすぎない
  • 塗り回数と工程間の乾燥時間を守る
  • 凹凸、重なり、端部を含めて塗膜を均一にする
  • 使用量と施工状況を確認し、膜厚不足を防ぐ

刷毛・ローラー・吹付けは、部位、屋根形状、製品の施工要領に合わせて選びます。汚れやすさ、艶、仕上がりの質感も製品ごとに異なるため、耐候性と美観を含めて比較します。

見積り前に施工会社へ確認したい7項目

  1. 屋根材の商品名と製造年代を特定したか
  2. 塗装できる状態か、根拠を写真で説明するか
  3. 石綿事前調査を誰がどの方法で行うか
  4. 洗浄・ケレン・補修の内容が明記されているか
  5. 下塗り材と上塗り材の商品名・塗布量・回数が明記されているか
  6. 端部や重なり部をどの道具で施工するか
  7. 塗装以外の方法が適する場合も説明するか

PRICE GUIDE

2026年8月時点の参考価格

屋根面積80㎡の場合。高圧洗浄と板金部分の軽補修を含む参考価格で、すべて税抜です。

遮熱ラジカルシリコン29万円
遮熱無機36万円
一流の高耐久フッ素概ね30万円

※屋根材、形状、勾配、劣化状態、足場、下地補修、使用製品によって金額は変わります。現地確認後に、施工内容と使用量を明記してお見積りします。

ROOF DIAGNOSIS

塗れる屋根か、まず正しく診断します

不要な塗装はおすすめしません。屋根材と劣化状態を確認し、塗装・補修・カバー工法・葺き替えから適切な方法をご案内します。

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参考資料